ミルキーピンク

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【辛すぎる失恋…乗り越えられれば大きな糧になる】~失恋当日~

f:id:ShimoAsu:20211029094056j:plain↓↓前回までの話↓↓
https://milkypink.hatenablog.com/entry/daishituren1
東京に帰ることを最初に伝えたのは彼のお母さんでした。彼のお母さんは「最後に生姜焼き作ってあげて」と私をスーパーに連れて行きました。彼には色々な手の込んだ料理も作りましたが、手のかからない生姜焼きが一番お気に入りだったようです。それをいつの間にかお母さんに話していたんですね。今日の夕食は彼と一緒だし、夜寝る時も一緒、明日も新幹線に乗るまでデートが出来る。彼の心を独り占め出来ない一生より、彼の心を独り占め出来る一瞬を私は選びました。

「帰らないで」

と、言ってくれました。なんで帰るの、と。「女の子を連れて来たのが一番嫌だった」と言いましたが半分ほんとで半分嘘です。確かにきっかけではありましたが、別れを秤にかけないと彼の気持ちと私の気持ちを平等にできなかったからです。今だからこそバカだなぁと思えますが、当時は真剣そのもので、とても不器用でしたが、とても一生懸命でした。


 そして当日、彼のお母さんが車で駅まで送ってくれる道中、景色を目に焼き付けていたような気がします。ここは彼のお父さんとご飯を食べた場所だとか、色々思い出しすでに車の中で泣いていたと思います。駅に着く前、彼のお母さんが気を利かせて二人っきりにしてくれたので、二人でパフェを食べました。そこで何を話したかは覚えていませんが、私たちはほとんどデートをしなかったのでとても嬉しかったのは覚えています。周りから恋人同士と思われてるかなとか、私はこの人の彼女って思われてたら嬉しいなとか。けれど楽しい時間はあっという間に終わってしまいます。


 断片的な記憶ですが、駅に着き階段を上って少ししたところでお母さんにあいさつをします。涙目のお母さんはそこで足を止めます。彼と二人で改札前に行き、言葉が出ずに顔を見ると涙しか出てきません。彼も泣きそうな顔で「泣くなよ」と言っています。ずっと黙って泣いていても迷惑がかかるので「バイバイ」と言って歩き出します。一度も振り返らず、電車の中でも東京に着いても、ずっと泣いていました。何日も涙が止まることはありませんし、彼を恋しく思わない日もありません。東京に帰ってしばらくは彼以外の家族と連絡をとっていて、彼に元気が無いことや「あんないい女もう居ない」と言っていたことを聞き一喜一憂していて、私はまだ本当の別れを理解していなかったのです。

彼の実家から東京へ帰る新幹線で読んでいました。たまには現実逃避もいいですよね。